@の在りかた

彼を @(アット) と呼びましょう。

最重度知的障害と自閉症(自閉スペクトラム障害)を持つ27歳。
障害支援区分は、24時間見守りが必要と診断された最重度の区分6。

最重度知的障害があるため、道理を理解するのが難しいとされている。
確かに、@は死を理解できない。
だからこそ、生きる想定しかない。つらければ逃げるけれど、死はあり得ない。
「死」を知っている健常者には、到底手に入れることができない「強さ」だと思う。

機嫌の良いとき悪いときがある。そこに周りは振り回されて疲弊する。
それを「介護は大変だ」と評価する。この子は問題児だ、と「普通」は位置づける。それはバイアスなのではないか。「普通」に支配されていることに無意識なだけ。

@の機嫌は、天気のようなものだ、と思う。
機嫌が良いときは晴れのようなもの、悪いときは雨のようなもの。
雨の天気を「これは大問題だ、どうにかしなくては、もうどうにもならない」
と受け止めるひとがいるだろうか。
雨の後のお天気のすがすがしさも、@は表現してくれる。空に虹が出ているような機嫌。

最重度知的障害だからワカラナイことはたくさんある。
けれど一方で、最重度知的障害だからこそ開いている世界がある。